不動産物件の二極化
近年の不動産業界は、不動産ファンドやJリートといった金融派生商品の登場、都心部におけるマンションの建設や地価の上昇によってにわかに活況になっています。それに伴って、分譲マンションの価格やオフィスの家賃が上昇したとの景気の良い話を耳にするようになりました。
しかし、周辺を見回してみると相変わらずテナント募集中の物件も多いようです。 募集しなくてもテナントが決まっていく物件があれば、一方で家賃をいくら下げてもなかなかテナントが見つからない物件も多い、まさしく不動産にも二極化が進み、勝ち組と負け組みが明確になってきているのです。 この競争時代において、勝ち組になるためには、勝ち組、負け組み物件の条件を理解したうえで、効果的な対策を講じることが重要です。
低稼働物件には理由がある!
勝ち組物件としての絶対条件は、不動産業界で以前から定説として言われ続けてきた「新・近・大」(新しい、駅に近い、規模が大きい)です。再開発や大規模開発によって登場した物件は、ほぼ満室の状況で家賃も周辺相場よりも高いです。もちろん3つの条件が揃っていなくとも勝ち組になれる物件もあります。それらの多くが、設備やデザインで他には無い個性や特徴があり、何らかの付加価値や魅力を備えています。
一方で負け組み物件を見てみると、「古い・狭い・遠い」などの十分条件に加えて、家賃のミスマッチ、設備不十分や管理の状態が悪いといった改善可能な項目があることが多いです。
物件成約率は僅か「200分の1」
仮に、勝ち組物件の条件を備えていても、セールスが効果的に行われなければ、高稼働を維持することは難しいものです。今空いている1物件に客付けするためには、「問い合わせ」200件の対応をしなければならないのが実情です。時間と手間をかけずに高稼働を実現するためには、建物の管理や設備更新だけでなく、効果的な広告展開や仲介業者との連携を戦略的に行うことが求められます。
必要なのは、総合戦略的な 『リーシング マネージメント』 (Leasing Management)
物件の立地や競合などのマーケット調査から、その物件にマッチした顧客開拓、家賃の設定から内装や設備の改善計画、そして戦略的な広告活動と顧客管理によって高稼働物件は生み出されます。すなわち、その物件を包括する総合的な計画とそれらを実行する運営による「リーシング マネージメント」が、高稼働を実現させるのです。
東京都港区にある物件は、8戸中7戸が3年前の新築完成時から未入居でした。弊社にて調査を行い、家賃が周辺相場と比較して割高であること、物件の間取りが特殊であることから、住居よりもSOHOに向いていると判断し、オーナー様への提案として
- 内装の変更提案
- 家賃の改定
- オリジナルHPの作成
- 住宅雑誌等への広告掲載
- モデルルーム設置とオープンルームの開催
- 客付け業者へのインセンティブ
- 弊社の専属選任契約
その結果2.、6.、7.を了解頂いた上で、1.はオーナー様側で実施し、3.~5.は弊社の負担で行い、成約に応じて報酬をいただく「成功報酬」とすることとなりました。
1. 内装の変更提案
デザイナーズ物件として個性的な物件ですが、実際には生活感に乏しく住生活に無理がある間取りと、床面積を広く取るためにロフトになった部分が、生活空間を圧迫しているという状況でした。そこで、面積は少なくなりますが、ロフト部分の床を外して、立体的な生活空間を広くとる改装提案をいたしました。これによって、天井高が4mの立体空間が広く確保され使い勝手が大幅に向上しました。
2. 家賃の改定
当初、募集賃料は周辺相場と比較して大幅に高く、競争力の無いものでした。弊社は当該物件の周辺相場、競合物件の家賃などから適正家賃を算出しオーナー様に提案しました。しかも、募集用途を事務所兼住居とし、比較対象を事務所家賃に据えることによって大幅な家賃の減額をすることなく、競争力を高めることが出来ました。
3. 物件オリジナルHPの作成
当該物件は、間取りや内装が非常にユニークで個性的でありますが、限られた紙面ではその良さを伝えることが出来ません。そこで、写真や図を多用して物件の特徴を掲載したHPをオリジナルで作成しました。これにより、電話での問い合わせに対して説明がしやすくなり、また問い合せ客の物件理解度も高まりました。
4. 住宅雑誌等への広告掲載とパブリシティ獲得
物件のターゲットとなる広告業、デザイン業などのSOHO利用者が購読しているインテリア雑誌「LiVES」に対してカラー1面の物件広告を掲載しました。また、あわせてパブリシティ活動を行ったことにより、TBSテレビの「王様のブランチ」において物件が紹介され、リクルート出版の「週刊フォレント」巻頭特集でもカラーページで取り上げられました。メディアへの露出による効果は、問い合わせの増加はもちろんですが、掲載実績が物件の「ブランド価値」を高める効果が絶大です。
5. モデルルーム設置とオープンルームの開催
内見に来られたお客さまの印象を良くするため、また実際の生活をイメージしやすいように、デザイナーズ家具などを設置したモデルルームを1室設けて、毎週末オープンルームを開催しました。その結果6ヶ月間で合計137件の内見対応を行い、その内8件が成約に結びつきました。
これらの策によって、当該物件は6ヶ月間で100%の入居率を達成しました。
この物件は、その後も空室待ちが出る状況となっております。
1. 物件のリサーチ
リーシング計画の前提条件となる、物件の様々な調査を行います。
- 立地調査:周辺環境、交通環境、地場産業
- 建物調査:構造、設備
- 家賃調査:近傍の家賃相場
- マーケット調査:競合調査、仮想ターゲット、類似事例
2. 適正な賃料設定
仮説を基にして適正家賃を導き出します。
- 募集用途の適正を確認します。
- 同様に敷金、礼金、管理費、駐車場、駐輪場、トランクルーム等料金も設定
- 家賃調査:近傍の家賃相場
3. わかりやすく効果的な広告展開
ターゲットに対して効果的な広告方法を検討し、短期間で出稿します。
- 物件をできるかぎり写真や図面で表現
- HPや雑誌などと連動して、より詳しい情報を掲載
- ターゲットとなる人々に認知される媒体を選定
- 制作・編集・出稿を一貫して行い、時間とコストを削減
4. いかにして内見させるか
物件を内見しないで成約する例はほとんどありません。すなわち如何にして内見に導くかがポイントとなります。
- 土日だけでなく夜間も内見に対応する。
- モデルルームを作って実際の生活感を感じ取れるようにする。
- きめ細やかな電話、メール応対(質問や相談など)を心がける。
5. 客付け業者へのインセンティブ(広告料によって内見者が10倍に増える)
お客さまを連れてくるのは、ほとんどが客付け仲介業者(業者)さんです。すなわち業者さんのやる気が高稼働につながります。
- 業者さんからの問い合わせや連絡にきめ細やかに対応する。
- 業者さんのネットワーク、リストの開拓
- 業者さんへのインセンティブ付与
『リーシング マネージメント』です。